ビー(Bee)

 

 

今の目で見れば何とも奇妙な前一輪の三輪自動車も、貨物車さえ三輪だったころには

特段不思議ではなかったかもしれない。なにせ、この車が発売されたのは昭和26年(1951)

人々の交通手段が乗用車になるはるか以前のことであった。

 

 

 

乗り心地確保のためのロングホイールベースも、転倒のことを考えると危なげに見える。

しかし、キャビンはしっかり4人乗りのスペースを確保してあるため、リヤエンジンと乗員の重さで

案外安定性はあったかもしれない。

 

こういう車の車両感覚はどういうものだったろうか。当時多かった路地も3輪なら入り込みやすかった

と思われるが、細いノーズに対して車体後半は4輪と同等である。突っ込んだもののリヤをこする、

あるいはすり抜けに失敗する場面もあったのではないかと想像される。

 

”ビー”ではなく”Bee”の表記が正式なもののようである。働き蜂を表したものか、小回りの良さを生かして

主に大阪市内を自家用として、タクシーとして走り回っていたようである。

300台程度の生産台数から、他地区に出回ることはほとんどなかったと思われる。

 

Bee  1951-1952

 

独特な形状のフロントも下卑た感じにならず品を保っている。当時はこのクラスでも高級車の扱いで

生産されたであろうから一台ずつ丁寧に仕上げられた筈である。ダイハツの企業魂が込められている逸品である。

 

 

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