デボネア

 

 

 

1964年、それまでは小さな冴えない乗用車を作っていた三菱が、高級乗用車を発表した。

 

それまで他社に比べて明らかに貧相なデザインしかできなかった三菱が今まで経験のない高級車

を手がけるためには外国人の手助けを得る必要があった。そしてGM専属のブレッツナーを招き、

多分にアメリカ臭の強いエッジの立ったデザインを完成させることに至った。

 

 

 

排気量は2000cc、そして驚くことにこの巨大に見えるボディがなんと5ナンバーサイズに収まっていたのである。

写真で見る分にはセンチュリーにも匹敵する大柄な印象は、エッジやフィンで武装し、華麗さを競った50年代

アメリカ車の影響も大いにあるのであろう。実寸(全長:4670mm/全幅:1690mm/全高:1465mm)をはるかに

超える押し出しの強さは当時の高級車には必須の要件だったのである。(参考:2007シビックの全幅は1750mm)

 

 

 

 

 

三菱の意図としては、当然クラウンやセドリック、グロリア等の対抗馬になるべきものであったのだろうが

既にクラウンは2代目となって定評を得ており、販売の面でも三菱を寄せ付けるものではなかった。

 

当時の三菱は良くも悪くも旧財閥の大グループ内での消費が慣行化されており、自社関係の機関で

重役用の社用車としてかなりの台数を採用できたこともあるため外部への販売にあまり積極的では

なかったとも云われている。重厚なデザインは充分に重要人物用車としての印象を放ってはいたのだが

会社の体質がこの車を「箱入り息子」にしてしまったというところだろうか。

 

 

 

 

 

初期のものは三角窓も備え、リヤフィン後端にはロケットランプ、フロントフィンにはウィンカーが組み込まれ

ている凝った造りであったようだが度重なる小変更により、それらはよりオーソドックスな形態へと変更された。

 

 

三菱が一般向けにこの車を販売する意思が希薄だったこと、古くなることにより却って貫禄を増す印象に

なったことなどから、内部の改変は続いたもののエクステリアはほぼ登場時のまま1986年までの22年間

販売されるという異色の存在になった。その後、デボネアVに道を譲り、生産は停止したがそれから逆に

人気は上昇し、現在ではヤンキー用VIPシャコタン車として用いられる例が多くなっている。

 

 

 

 

車名の「デボネア」は「礼儀正しい」という意味の英語のようだが、日本語の語感としては全く垢抜けのしない

失敗の命名のように思える。最高級車の名前が「でぼ」から始まるのでは高級感も吹っ飛んでしまいかねない。

正に印象は「礼儀正しい」という印象なのではあるがもっと語感のよい名は無かったのであろうか。

 

 

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