1971年(昭和46年)スズキから異常なほど車高の低い軽自動車が発表された。
絶対的に縦横方向の寸法が制限されている軽自動車では、大人の人間が乗るために
高さで室内空間を稼ぐのが常である。それを敢えて極限まで切りつめ、普通車に対抗
しうるスポーティなスタイルを表現しようとした実験作のような車であった。
1200mm足らずの全高
この車の企画にはジウジアーロが携わったと云われているが、デザインを全て行ったというわけでは無いようだ。
思い切りよく2名分の最小空間のみを残して内部空間が切りつめられたため、その分外装デザインの自由度は
大きくなった。絶対寸法が限られているため、それでも普通車並みにスマートな感じは表現し切れていないように
思えるが、画像で見るよりずっと実車はスポーティなイメージだ。それはこの車の抑えに抑えられた全高による。
大人の腹くらいまでの高さしかないのだ。5,6歳の子供の身長くらいである。同じ軽でも現在の軽ワゴンの全高は1900mm前後もある。
ファストバック・クーペ
当時、クーペという名を頂くには、屋根(ルーフ)後端から車体最後尾まで直線的に、段無く続く
線が必要だった。そのころは、ハードトップの他2ドアセダンなどというボディタイプもあったため、
ノッチバックでは純粋なクーペとは認められ難かったこともある。ルーフとトランク部に明らかに
連続性がないコスモスポーツなどは、スポーツカーとは云われたが、最後までクーペとは称されなかった。
エンジンは後部に収まる
360ccの3気筒エンジンは37馬力。リッター換算で100馬力を越える計算だ。わずか500kgの車体を
このエンジンで振り回す。リヤエンジンリヤ駆動であるためポルシェ並みの愉しみが味わえたかもしれない。
角形ライトが精悍
のちに後部席が設けられ、4人乗りということになるが、とても大人が乗れる座席ではなかったようだ。
1977年に550cc拡大版セルボとして復刻するが、居住性のためかなり太った感じになってしまっていた。
セルボ 550cc
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