三菱はよくギャランの再登場を決意したものだと思う。セダンの売れ行き低調は一時的なものではなく、
これからも以前の勢いは取り戻せまい。一度は絶えた車名を呼び起こすことはコルトに先例があるが
ギャランの場合はより短期の復活であった。事情は複雑で、車格の設定も曖昧な状態の中、それでも
三菱の伝統的代表車名「ギャラン」は乗用車ラインナップに戻ってきた。
ランサーは一時ミラージュの兄弟車となったが、今回はギャランとの組み合わせになる。
海外ではランサー名で販売、また国内販売もされるランサーエボリューションとボディは共通。
戦闘的な鋭いフロント周りは初代ギャラン以来のイメージを継承している。今、このような
シャープなデザインは貴重である。スカイラインでさえ、ミニバンのようなトローンと間延びした
顔になってしまい、他の車も目つきだけが変に鋭い肥大顔である。鋭角的に削った造形は
時代に流されるデザインを拒否した気迫を感じさせてもいる。
くさび形の横顔はスポーティーであるが、それに伴いせり上がったサイドラインが高いトランクを作り出した。
トランクの高さは高ければ高いほど容量を稼げるわけだが、後ろに回るとその処理の難しさが露呈する。
トランク上辺とバンパーの間が離れすぎていてその間を埋めるのに苦労している。アルファロメオのようにテールランプを
傾斜させて間延びを緩和しようとしているが、それで埋めきれるスペースではなかった。テールランプ底辺から
バンパーまでの距離はまだ15cm程もある。引き締まったフロントに比べ、弛んだリヤデザインはちょっと痛い。
トランク容量は多いに越したことはないが、本当にそれだけ必要なのだろうか。あのトランクの高さまで
荷物を満載するような人は初めからワゴンを選ぶだろう。ミニバン全盛の中、敢えて室内高の低い
セダンを選ぶ人が買う車なのであるから容量は最優先事項から外してもよいのではないのか。
せっかく精悍なフロントスタイルを与えられながら、より制約の多い2BOXコンパクトの旧型デミオと
同等のリヤスタイルしかデザインしてもらえなかったギャランフォルティスが気の毒に思えてならない。
こちらはデミオ
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