レパード J.フェリー

 

 

高級車の割には迫力がない。押し出しが効かない。下がった尻が不格好。

この車が現れた時には、非難する声が強く、好意的に迎える人は少なかった。

 

 

先代までのレパードはソアラに大差を付けられた負け組であったが、主に売り方の差によるものであって

車自体の出来が悪いわけではなかった。しかし、ソアラと同じ土俵では勝負にならないと判断されたか、

モデルチェンジの際には名前もジャンルも変更してソアラとの競合車ではなくなった。

 

 

J.フェリーという名前さえ、何らイメージを湧かせるものでもない意味不明なもので

(フランス語で祝日という意味のものを英語風にアレンジした造語とのこと:やはり意味不明)

高い割には(約470万円)どんな人がターゲットなのか、性格付けの曖昧な車になった。

 

 

丸くてでかいブルーバードという感じのもっさりしたイメージの全体像だったが、悪い印象ではなかった。

おおらかで大陸的な、和製アメ車とでもいうような独特の雰囲気を持っていた。

 

特徴的なのはその後ろ姿で、国産車にはあまり類を見ないような、ドロンと垂れたような

生物的な形をしていた。どうしてこの形をリヤスタイルに採用したのか興味のあるところ

であるが、アメリカのデザインセンターによる造形であることから、日本人向けではない

ことは確かなようであった。アメリカ人には好まれたのであろうか?

 

 

日本人にはこのデザインはそっぽを向かれてしまったようだが、私自身はこの形は嫌いではない。

押し出しが効かないという特徴は、裏返せば偉ぶったところのない癒しを感じさせるような面も持ち

微笑ましくさえ思えるようなユーモラスな造形として目に映るのだった。漫画の「ムーミン」の顔のように

見えるのも親しみを感じさせる要素だったのかもしれない。更に言えばその造形センスは往年の名車

いすゞ117クーペのリヤスタイルに通ずるものもあったようにさえ思えた。

 

 

国内では7000台程度しか売れなかったこの車は発売後10数年を経て、めっきりその姿を

見なくなってしまった。不人気車であったことからあまり大事にされた様子もなく、一桁万円で

取り引きされることも珍しくなく、晩年は下駄代わりに乗りつぶされる例が多かったようだ。

 

レパード J.フェリー  (1992−1997)

 

 

 

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