L700

 

 

初期のホンダには稀少車が多いが、この車は特に現在は稀少であろう。

トヨタ2000GTのようにはじめから長期に保存されるような立場に生まれた車は

生産台数が少なくとも残存数はそれなりにある。しかし、商用車でありながら

売れなかった車には誰も残存価値を求めなかったうえ、乗用車のように他国で生き残って

いる例もほとんど無いため日本国中を総ざらいしてもほぼ絶滅という状況に至っている。

 

 

 

L700

 

 

ちょっと見たところ、サニーバンにも見紛うような平凡な顔立ち。

排気量に合わせた、軽よりちょっと大きい程度の2ドアの車体。

 

こんな車が消えようとどうということもないと言われればそれまでだが、

ホンダ初のライトバンはやはりただ者ではなかった。

 

 

 

700ccのエンジンはホンダのスポーツカーS600の拡大版。600のまま使わなかったのは

商用としての積載量に配慮してのことであっただろう。

 

性能に比して地味なデザイン

 

ピックアップトラックのP700も用意して、乗用・商用双方の成功を狙うホンダだったが、

スポーツカーのDOHCエンジンは、低速でゴー、ストップの繰り返しを多用する商用車の

使用法には不向きであったらしい。下駄替わりのOHVエンジンで間に合うところに高価な

精密機械を載せてあるわけだから採算もよいはずが無く、途中S800のエンジンに換装

されながらも3年程度しか生産されなかった。もっとも、これを乗用車にしようとする企画はあり

ハードトップボディの試作車まで出来ていたのだが、結局はお蔵入りになっている。

 

市販一歩手前までいったN800

 

この車の特筆すべきところが見あたらないボディスタイルこそ、現在の残存数

ヒト桁といわれる稀少価値を生んだ元になっているという皮肉な現象が起きた。

もっと存在をアピールする特異なデザインを与えられていたのならここまで

残存数は低くならなかったかも知れない。けれども一方この車からの部品供与

に因って延命しているS600,800があるという事実もあるため、無駄死にと

いうわけではない一面もある。この車がなければSの残存はもっと低かった。

 

 

 

最後はSシリーズの部品取り車

 

お蔵入りになったスポーツカーの心臓を持つ乗用車N800の思想は、後年ホンダ1300として

実現するのだが、当時の乗用車には珍しく1300シリーズには最後までバンが設けられることは

無かった。L700およびL800シリーズの失敗を繰り返すまいとしたのであろうか。

 

ホンダL700 LM700 P700

L800 LM800 P800(1965−1968) 

 

 

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