レガシィが4代目から5代目に代わるとき、雰囲気はこれまでのモデルチェンジとはまったく異なっていた。
今までのようにレガシィファンが無条件継続支持を表明するわけでなく、賛同、拒否の両極端に評価が分かれていた。
国内で扱いやすいサイズを守り、ワゴンの代表選手であり続けたレガシィもワゴンブームの終息とともに
その立場は万全なものとはいえなくなっていた。ミニバンを主力としないスバルそのものの経営も不透明になり、
トヨタの傘下に入っての延命、歴史ある軽自動車製造部門の廃止など体質改革とも言える大変革の時期の
新型車として出されたレガシィはワゴンの王者としてのキープコンセプトさえ許されなくなっていた。
誕生から貫いてきた水平方向の線を基調とした、低い姿勢をアピールするデザインからヘッドライト両端を
著しく吊り上げる威嚇的な流行の顔つきになった。低重心の水平対抗エンジンを感じさせない腰高なボディ
や独特の水平対抗音の消去、アメリカ市場を意識した肥大化など、従来のファンの嗜好には囚われていられない
富士重工の事情が見え隠れする変身となった。このあたりのいきさつは、スカイラインが11代目に代替わりした
あたりの様子に似ている。いずれにせよ、4代目から5代目という変わり方でなく、レオーネからレガシィに変わった
時くらいに思い切ったチェンジであると理解してほしいとの声もあるほどに、あえて変えようとした結果であるようだ。
結果的に外装デザインは日産あたりのミニバンに近い、レガシィの持つ資質を表すようなものでは
なくなったように思う。特に秋田のなまはげのような顔つきは、先代までの落ち着いた大人らしさを
捨ててまで採用するべき意匠であったかは大いに疑問の残るところである。画像で見るより実車は
たいへんミニバン臭い印象になっており、グランドツーリングワゴンからトヨタガイア、マツダプレマシー
などの属するカテゴリにチェンジしたのかと思えるほどである。実際、営業・販売のほうからはその
ような要素の盛り込み要請もあったのであろう。室内体積は大きく増加している様子がうかがえる。
なまはげのイメージ
大量販売が社是のトヨタの影響もあり、台数の稼げない国内重視の姿勢から転じて、大需要の見込める北米
重視の観点で作り上げられた車だと言う。よく言えば世界戦略車だが、つまりのところアメリカ人の好みに合わせた車の
余りを日本人にも回すということである。車体の肥大化もイージードライブ化も日本のレガシィファンのためのものではない。
スバルがトヨタの傘下に入った今、スバルファンを続ける限りはトヨタの車作りの思想を否定するわけには行かなくなった。軽自動車が
全てダイハツ製になっても、そしていつかカローラフィルダーをインプレッサ、カムリ4WDのOEMをレガシィと呼ぶ日が来ても、である。
レガシィのデザインは進化したか?
TOYOTA NISSAN MITSUBISHI MAZDA HONDA DAIHATSU SUBARU SUZUKI ISUZU 他