評判のよかった先代マーチも8年以上を経過し、次の型に代替わりということになった。
しかし、モデル末期といえどもそのまとまりのある形は古くは見えず、消費者側からの
モデルチェンジを望む声はそう無かったように思う。それでも日産がマーチを変えたのは
生産コストの削減という大目的があったからであろう。
新型マーチは人件費の安いタイや中国、インドなどでの生産となった。
この車が初めて発表されたとき、旧型の在庫売り払いキャンペーンでサービス価格に
なっていた旧型の方が、ルックスも品質もずっとよかったではないかと思ったものである。
あれだけ個性的な主張のあった顔も、ヴィッツのB級アウトレットみたいな、ぬっるーい
デザインになってしまい、後方からの眺めもヴィッツとパッソの中間のような平凡さ。
横からの眺めは更におかしく、中に先代マーチを塗り込めたまま粘土を盛ったような感じ。
前後のオーバーハングのアンバランスも軽快さを欠く要素。ドアの形だけ先代のイメージが
欲しいなんていうちぐはぐな判断では統一感は演出できようはずもない。
会社の利益率の向上のために「この程度ならまあ無難だろう」という、外れを
おそれた消極的な造形。先代マーチやジューク、キューブなどのチャレンジ精神は
この車には微塵もない。「車なんて安く乗れればそれでいい」という層のみがターゲット。
生産に海外の労働力が使われていること、日本の車文化に全く影響を持たないこと
加えて街の景観にも貢献する要素がないことから、日産のマークがついているだけで
国産車として扱うのもためらわれるチープカーである。旧型の再生産が望まれてしまう。
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