モーターショーの時には本当に発売されるとはちょっと思えなかったが、ダイハツは本気だった。
1999年秋、特殊モデルとしてではなく、一般量販モデルとしてネイキッドは登場した。
「裸の」という意味のネイキッドであるが、その外見はまさに皮膚を取り去ったムーブのようだった。
もちろん外板は塗装されて仕上げられており、決して未完成ではないのだが
「自分で完成させられる余地がある」と期待させるデザインであった。
内装にもねじ穴などを配し、室内を自分なりに工夫し、いじれるようにしてあるところが
この車のウリであった。バンパーをはじめ外装も、部品さえ入手すれば自分で付け替え
できるようになっており、実際それ用のパーツもだいぶ用意されていたらしい。
ドアのヒンジをあえて外に出す手法は古い時代の車では当たり前だったが
近年ではオフロード車の一部や、レトロ趣味の車種(日産PAOなど)に見られる
のみとなっていた。この車では露出したヒンジさえもアクセサリーのように取り入れ
られ、強烈なドアのプレスラインとともに側面を飾った。このドアは前後とも同じ型
のものが用いられるという4ドア車としては特異な趣向が凝らされているため
フロントドアもリアに合わせて後端が欠けた形で開閉する。しかし、その辺は
閉じた状態では目立たないように巧く処理されているため違和感はない。
発想もデザインも斬新で、模型感覚でいじれる自動車を提案した意欲作だったが
実際にそのようにいじって楽しむ人は多くはなかった。車をいじらない女性中心の
軽自動車市場に販売台数は伸び悩み、角目へのデザイン変更も奏功しなかった。
極端なコンセプトだったこともあって2代目の登場もなく2003年末には閑かに消えていった。
失敗作の乗用車だったというよりも、大量生産まで試した試作車であったという方が近いかも知れない。
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