ハイブリッド車プリウスが官公庁の公用車として採用される例が相次ぎ、一種のブームとなっている。
今までのクルマを廃棄、あるいは公売にかけて処分したあとに新たに購入するわけであるから新規の
公費支出が発生する。しかも、事実上競争相手がないためトヨタ一社に公費が流入することになる。
プリウス(ハイブリッド車)には他にも取得税の軽減など数種の優遇策が用意され、取得が
奨励されている。一見、「環境によいのだから優遇して当然」と思われそうだが一寸待って欲しい。
経費を含めば250万円を超えるこの車に乗る人には金銭的な優遇をするという一方、査定価値
が0に等しい古いクルマを長く使っている人々には罰則税制(ガソリン車13年超、ディーゼル車11年
超→自動車税10%割り増し徴収)が課されている。いわば250万円の車に乗れる人の負担分を
0円の車にしか乗れない人が背負っているのである。また、プリウスなどより遙かに環境にいいはずの
原付バイクや自転車などを使っている人には何の新たな恩恵も表明されることはない。
プリウスが市場に出された少し後、経団連の会長がトヨタの奥田氏になり、数々の政治的発言が
続いた。消費税の大幅引き上げの提案、一定以上の収入の者には残業代を出さない方式の提案
など自民党の大口スポンサーの立場を最大限に利用した奔放な発言であったが、大広告主の
トヨタを敵に回せないマスコミはそれを批判さえ出来ず、のさばらせた。その結果、労働者を使い捨て
にできる制度が完成し、トヨタに史上空前の利益を掴ませる結果となった。(07年3月期 2兆2千億超)
トヨタはそれでも法人税の軽減延長を実現させ、さらに2300億円もの輸出戻し税(国内で消費税として
クルマの製造過程で納められたものを輸出分には免税として企業に戻す)まで手にしている。
プリウスが他のクルマより多少燃費がいいのは事実としても、それを造っているトヨタが環境を
本気で守ろうとしているという考えに直結させるのはどうかと思う。トヨタはプリウスを広告塔にして
政治的な道具にまで使ってトヨタ車全体の販売台数を大幅に増やし、今まで自動車が普及して
いなかった国・地域にまで販売攻勢をかけている。つまり、CO2排出量増加の手助けをしているの
である。プリウス開発陣がそれを企図したわけではなく、経営陣がプリウスの政治的利用を最大限に
した結果、環境には逆効果が生まれそうになっているということなのであろう。
トヨタといえども一企業の役職員があたかも政治家であるかのように振る舞って政治を動かすことは、
自社利益のために公費さえ動かすという意味では犯罪行為に近いと思う。政治的な動きをしたいのであれば
国会議員に立候補して当選した後にするべきであろう。外部からカネで政権を操って世界一の企業になっても
「審判に賄賂を渡して優勝したチーム」としての立場となんら変わらないのであるから。
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