以前、スカイライン、ローレルにはバン(ワゴン)が準備されていたが、次第にラインナップから外されるようになった。
しかし、折しも訪れたツーリングワゴンブームに乗り遅れそうになった日産は、ウィングロードやアベニールに加え、
ビッグサイズのワゴンの持ち駒としてスカイライン、ローレルのワゴンとも言えるステージアを生み出すこととなった。
「新しい舞台へ」ということで「ステージ」が名の由来だそうである。わざととも思える大味で無骨なデザインは
「男のクルマ」を強調したいためであろう。とりわけ目立つ、大きく引き延ばされた荷室は「重い荷物を背負う
力強さ」をアピールするかのようでもある。日産は、ボルボの実用優先の角張ったボディが広く受け入れられて
いるのを見て敢えてこの角張った荷室を背負わせたのであろう。
ツーリングワゴンはレガシィの独壇場であるため、各社ともその牙城を切り崩そうと躍起になっている時期
であった。そこで日産はこの大柄なワゴンにスカイラインGT−Rと同じ280馬力を与えるに至った。
私はこのクラスのワゴンは、そんなにせせこましく飛ばすことなく目的地に向かう使い方が合っていると思う。
そのためこの車に何故そのようなぶっ飛びターボを与えたかったのか理解に苦しむ。レガシィの280馬力
に数字的に対抗したかっただけなのか。大人げない使い方を推奨することになるとは思わなかったのだろうか。
スカイラインが代替わりしてのんびりした抜け顔になると、ステージアはそれを上回るドジョウ顔として登場した。
顔の両側に手のひらを当てて、思い切り外側にビローンと引っ張ったような離れ目のすっとぼけた表情で
現れたのである。マイナーチェンジをしても精悍な表情を崩さなかった先代とは大きくイメージが変わった。
思い切り離れ目
理由は何であったのだろう。1つには予定外にスカイライン後継に指名されたXVLがスカイラインとしてデザイン
されたものではなかったため、はじめからすっとぼけ顔であったこと。そのワゴン版としてのステージアにも同様の
のんびり顔を与えざるを得なかった可能性。2つには荷室を長く見せるデザインのため、相対的に幅が狭く見えて
しまうことを嫌い、幅広顔に見えるデザインにしたことなどが考えられる。
XVL
あまりに力が抜けるようなデザイン変更だったこともあり、旧来の威嚇型のデザインと爆発的なターボパワー
を望む層にとっては拍子抜けであっただろう。しかし、この種のワゴンは休日の遠出など、のんびりした使用
スタイルが本来であり、このドジョウ顔がその性格に相応しいのではないかと思えるのである。
ステージア
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