1998年登場
宇宙から舞い降りたという設定のテレビコマーシャルで売り出されたストーリアは、当時確かに
流行を追う他車とは異なるイメージを持っていた。愛嬌のある表情と、大きくサイドまで回り込む
メッキパーツ(バンパー?)が、どこか実用とは離れた何かを表現しているように見えたのである。
流行の中では、つり目ぎみのライトを取り入れたぐらいで、しかしそれも他車のように威圧的ではない。
その他についてはほとんど当時の流行に左右されずに自由にデザインされたようなその姿は、ダイハツの柔軟さを
感じさせる新鮮なものであった。のちに出るヴィッツよりもこのデザインは私にとって印象的であり、もしぜひとも
コンパクトカーに乗らなければならなくなったなら、この車を選ぼうという気にさせてくれるほどであった。
ストーリアには特殊な事情を持つ、×4(クロスフォー)なるモデルが存在した。
4WD 713cc ターボ 120馬力 エアコン.パワステ.パワーウィンドウ無し
ボディ形態以外、通常型のストーリアとは何の関連もないこの車は、ラリー競技専用ベース車ということで
ターボ係数1.4をかけても1000cc以内に収まるように排気量が決められた。軽量化のために多くの装備が
省略された上、ボディカラーも白のみというものであった。カタログにも載らず、存在すら知らない人が多い、市販車
と言っていいのかどうかもわからないモデルであったが、何故か競技とは縁遠いようなこのボディで登場したのであった。
競技用ストーリア X4
ストーリアはダイハツがトヨタ傘下の会社ということもあり、間もなくトヨタデュエットの名でOEM車として
併売されることになった。それまでそれほど多くは見られなかった車だったが、トヨタの販売力で
街中でも多く見られるようになり、この車をトヨタ車と思っている人も多かった。トヨタにとっても実際、
ヴィッツが出るまではこの車は重宝な存在だったのではないかと思われる。
マイナーチェンジは悲惨なものだった。愛くるしい表情であればこそのストーリアであったのだが、
変更後の顔は、驚きながら激怒しているような、とても同じ車とは思えない、思いたくない形相であった。
何故、このような目つき、顔つきにしたのか不可解であったが、それにも増して
この顔が結構売れているのは、なお不可解であった。かわいらしいボディに恐ろしい顔の
不可解な車が大量に走り回る。この車が後につくたびにバックミラーを見て悩む日々である。
「自分の美観が狂っているのか!??」
ストーリアは1代限りで消えていった。後継車は「ブーン」というつまらない名に変わった。
なぜ「ストーリア」の名前を使い捨てにしたのか、蠅の羽音のような「ブーン」のほうがよいのかこれもまた不可解である。
TOYOTA NISSAN MITSUBISHI MAZDA HONDA DAIHATSU SUBARU SUZUKI ISUZU 他