1999年でモデル寿命を迎えたスターレットは、保険代わりにダイハツ製デュエットの
リリーフを仰ぎながらヨーロッパでヤリスと呼ばれる日本名「ヴィッツ」に代替わりした。
スターレット
ヴィッツのデザインは、スターレットやデュエットに比べ明らかに高い全高を持つものだった。
室内空間の確保のため、軽自動車と同様上方への拡大を模索した結果だったと思われる。
この提案は、「軽ではちょっと...」と軽自動車とは違った外見を求める普通車指向の人々に
抵抗無く受け入れられるかどうかが心配されたが、そつのないまとまり感のある好デザインと、
軽自動車とは形は似ていても、見まごうはずもない大きな車体が受け、当初から好評だった。
当時流行ったボディの衝突安全性を強調した戦略も大当たりで、安全性を期待して
この新しい形を受け入れようとする人が多かったものと思われる。
ヴィッツ
リヤ
初めてこの車を見たときには、その意外な大きさにびっくりした。軽自動車同様の形だっただけに
大きさも軽に準じた程度だろうと思っていた。ところが隣に並んでいたスプリンターを遙かにしのぐ
固まりとしての存在感。乗っている人間がやけに小さく見え、これをコンパクトと呼んでも良いものかと感じたほどであった。
センターメーター
運転席のセンターメーターも話題になり、この方が安全性も高いのだという説明にも
素直には納得できなかったが、慣れればこれでも良いのだろう。ただ、私はこれでは落ち着いた感じがしなかった。
美形ではないが好デザインと言えるこの車は、生き物で言えばコガネムシのような感じであっという間にすばしこく大量に町中を走り回り始めた。
いくら好調でもモデルチェンジを免れない定めの大衆車であるため、世に出て6年という
2005年、ヴィッツは初のフルモデルチェンジを受ける。全体としては正常進化の様子
であった。が、フロントのマークが直径15cm以上はあろうかという巨大なものになったために
これが鼻のように見え、その下の黒いグリルが必然的に鼻の下に生えた髭に見えるという
非常にクセの強いフロントデザインになってしまった。この、ヒゲオヤジのような顔は、
女性専用車の先代のイメージを覆し、男性にも受け入れられるための策略だったかも
知れないが、成功とは言い難い。先代より明確に不細工である。ボンネットをフロント
ウィンドウ側に這い上ってゆく吊り目ライトは愛嬌を許さないため、格好良くも可愛くもない無愛想な表情になってしまった。
新型ヴィッツ
このフロントデザインの不評に配慮した販売店が、希望者にはヒゲの部分をボディと
同色に塗って配車する(無料)というサービスを行ったほどであった。
濃〜い顔になったヴィッツが先代同様に売れ続けるのか、早々に整形を施されるのか
現段階では予想がつかないが、デュエットにマイナーチェンジで相当ひどい顔を載せても
販売力で大量に売ってしまったトヨタであるから、このブサイクヒゲオヤジもまた意外に
好調な販売を長期間続けていくのかも知れない。
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