アストン・マーティン 1928
トヨダ AB
自動車が発明されてから1950年代くらいまでは、フェンダーは車体から独立
して付いているのが普通だった。元々カバーがなかった車輪に、雨天時の泥はね
防止として付けられた部分だったため、車体の一部ではなかったのである。
しかし、フェンダーを車体と一体化する方が生産性が上がることやボディの
デザイン度が高まることなどから、独立したフェンダーを持つ車は次第に姿を
消していき、モーガンなどの趣味向けに敢えて造られている一部のものを除いては
1970年代までに絶滅した。輸入車ではワーゲンビートル、国産車ではジムニー等の
RV車が最後ではなかったかと思う。(例外的にミゼットU)
ジムニー ワーゲンビートル
しかし、ジムニーさえフェンダーを車体に格納し、ビートルがゴルフに代替わりすると「泥よけ」状の造形は見られなくなった。
その後、幅広いタイヤを履くための、オーバーフェンダー、ブリスターフェンダーなどと呼ばれる造形は登場したものの、
車輪が車幅を超えてはならないという車検対策からの発展であった。(のちにファッション的要素も持つようになった)
スマート
ところが近年になり、主にコンパクトクラス以下の小さな車にフェンダー復活のような現象が見られるようになってきた。
タイヤ自体は細いため、やむを得ず張り出したものとは成り立ちが違う。それではなぜ今、フェンダーが張り出す必要があるのか?
コンパクトカー、軽自動車といえども、現在のものは昔より遙かに実寸は大きくなり、肥大している。かつては
限られた大きさの中で、いかに大きさを強調してみせるか、という価値観が有ったためボディを絞るということは
かえりみられなかった。しかし、肥大化が進むと、限りなく箱形化、同型化の傾向が見られるようになったため個性は薄らいでしまう。
そこで今度は、削り込み、絞り込みである。しかし、一度大きくなった車を小さくするのは容易なことではない。
安定性、居住性など既得の利点は失わず形を変えるとなると、ホイールベース(車軸長)、トレッド(車軸幅)には
手を付けることが出来ない。その条件で絞り込み可能な部分に手を付けると結果的に車輪付近を取り残したまま
絞られた形が出来、昔の独立フェンダーを思わせる形になってしまうのだろう。
ただ、ホンダライフの造形を見ると、運転する上で車幅感覚は正確に持てるのだろうかという疑問を感じる。
運転席から見えるボンネットの幅と実際の車幅が違いすぎるためである。昔の車のようにフェンダーの端まで
運転席から見通せるなら問題はないのであるがそうなってはいない。
ミゼットU
Will Vi
ホンダライフ
TOYOTA NISSAN MITSUBISHI MAZDA HONDA DAIHATSU SUBARU SUZUKI ISUZU 他