この前、後ろに付いた車をバックミラーで見て、ギョッ!とした。
うつろな眼差し、猫のような顔つき、すなわち「死んだ猫」のような
表情が映し出されたのである。−−−−日産ノートであった。
新しい車にもかかわらず、眼(ヘッドライト)に生気がうかがえない。
「どうしたのか、これは!」と心配になるような表情であった。
気づいてみると、弟分のモコ、その兄弟のMRワゴンにしても死んだ魚のような眼をしていた。
特にMRワゴンなどは無理した作り笑いの顔つきのため、死んだ眼の怖さが倍増している。
以前の車には眼に生気があったように思う。デザインの善し悪しは別にしても、各車の
ヘッドライト周りには力強く、生気のある眼差しが感じられた。いうまでもなく、各車は当時の車
より格段に性能のよいヘッドライトが取り付けられているには違いなく機能的には問題ない。
しかし、空力優先でコンピュータがデザインした形に人間が生気を与える作業がおろそかに
されていると思う。「そんなもの何の利益になる」といわれればそれまでだが、車というものは
造られる端から市中に放出され、街の景色の重要な構成物となるものである。デザインの
最終的な仕上げには人間の感性を最重視するべきだと思う。コンピュータの性能が低かった
頃の、またはほとんどデザインに関与していなかった頃の車たちの顔つき、眼は生きていた。
ついでにいうと、ムーブラテのテールライトは可愛いという人もいるが
日野日出志のマンガを知っていると、充血した登場人物の眼にそっくりで怖くなってくる。
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