近年のマツダは、ファミリーフェイスの設定などと言って、「ファイブ・ポイント・グリル」と
命名した5角形をどの車の顔にも無理矢理はめ込んでいる。これは、BMWやベンツそして
アルファロメオなど外国車の模倣で、一目見てメーカーがわかる、ブランドの確立だとのことである。
BMWに一定の評価があるのはわかるが、それがあの豚っ鼻によるものとは思えない。
あくまで車の中身に対する評価であろう。車の中身が伴わなければあの鼻は笑いものになるだけであっただろう。
高性能なら豚鼻でも人気
デミオもプレマシーも、MPVまでもが同じ顔。目的も性格も違うタイプが同じデザイン。
これはデザインの本質的な部分を投げ出していると言われても仕方なかろう。製品の
目的が違うのならデザインも変えねばならないではないか。ファミリーフェイスというが、
家族中、爺さんも姉さんも赤ちゃんも同じ顔ばかりでは怪奇一家だろう。爺さんと同じ顔の
赤ん坊は、他人には可愛がってもらえないだろうし、爺さん顔の娘は気の毒なばかりである。
とにかく形から入ろうとするマツダの姿勢は、バブル期にとにかくチャンネルを増やして大会社
(トヨタ、日産)に対抗する形を整える、として大失敗した経験を生かしていない。今売れている
マツダの車はそれぞれが自由な顔だったら売れなかったのだろうか。むしろ反対だろう。
もっと、その車の性格に合う形だったら伸びるのかもしれないのである。
ホンダはマツダの5角形戦略など十分承知の上で、マツダ同様の5角形顔を続々と出してくる。
マツダのファミリーフェイス作戦など成り立たせない、というツブシの意味であろうか。一見しても
マークを見なければどちらのメーカーのフロントデザインかわからないようなものもある。ただ違うのは
ホンダは、この顔が流行らなくなったらいつでもやめられる、一方マツダは飽きられてもやめることが
出来ない。これはマツダにとってブランドイメージの固定、などというメリットよりも将来のマツダ車の
デザイン自由度を奪うデメリットのほうが大きいと思えるのである。
ホンダはマツダに遠慮しない
何から何まで同じ5角形に揃え、選択の余地を無くしていくということは「5角形が気に入らなければ
マツダの車は買わなくて結構です」というマイナスメッセージを消費者に伝えてもいるのだということをなぜ気づけないのだろう。
マツダデザイン絶頂期
経営的には多チャンネル化で失敗したバブル期のマツダは、反面デザイン的には自由で伸びやかな線を
綺麗に描き、世界的にも秀逸な形を次々と生み出していた。ランティス、RX−7、ユーノス500、MS−8
ユーノスコスモなど、どれを取っても流麗な完成度の高い「作品」とも言えそうなデザインを生み出した
マツダのデザインスタッフは、今では総入れ替えにされてしまっているのだろうか。
デミオやプレマシーのデザインがひどいというのではない。「何から何まで無理矢理5角顔」という
今のマツダの考えには賛同できないのだ。ただそれだけである。
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