「暫定税率」という言葉はそのまま読めば、ちょっとの間のやむを得ない措置、と取れるが
実際はそうではなかった。揮発油税や重量税をはじめ本来税額の2倍前後を納めさせる
「暫定税」が30数年も続いている。そうして集められた年5兆を超える莫大な税が本来目的
から流用されようとして今問題となっている。JAFなどでは本来目的以外に使うのなら納税者に
返還すべきと主張しているが、どうもそうはならないようだ。これほど有力な税を政府が手放す筈もないのである。
自動車に重税を掛けることは、昔と今では事情が全く異なっている。かつて自動車が高額
贅沢品で、一般国民が簡単には入手できなかったような時代には、「高額所得者に掛ける税」
の側面があったと思う。しかし今は、交通網の発達していないうえ、所得も低い地方住民にこそ多くの負担を求める税となった。
高齢ドライバーの事故が問題となっているが、バスや電車などの交通手段が発達している都会
なら運転しないで済むような高齢者が、なぜ危険を冒して運転せざるを得ないかは言うまでもない。
本来ならこのような人々が、無理を押して自ら運転することをせずとも生活できるような環境を
いくらかでも実現する努力を見せるのが行政の責任というものであろう。しかし現実は全く正反対。
そのような現状を放置した上、これに便乗して税を巻き上げようというのであるからあきれたものだ。
道路特定財源であるなら一般財源化を考える前に、こうした交通事情の悪い地域の状況改善などを
考慮すべきであろう。赤字による路線打ち切り、縮小が相次ぐ路線バス、ローカル線などに対する補助、
支援は地方生活者の交通事情改善になる。無理して自動車を運転して道に出る人々が減れば結果と
して道路状況は改善し、新道建設という手段によらずとも目的税の「目的」が達成されるのである。
同時に暫定税率を本来税率に戻せば、所得悪化の著しい地方住民にも一息つかせることができるだろう。
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