1992年、マツダの5チャンネル体制の時代に生み出された4ドアハードトップ。
マツダがクロノスを元に、5チャンネルそれぞれに供給する車を用意するのに
てんやわんやの状態になっていた頃の作品である。
次々生み出される車はどれも、機構部はクロノスのものを流用するため
デザインを重点に開発された。そのため、乱発されていたように見えても
1台1台のデザイン完成度は高く、メーカーを明らかにしなければ、高級欧州車
といってもわからないほどの上質感のある形を具現化しているのだった。
クロノス系 兄弟車
兄弟車の中でもMS−8のボディが描く曲面はひときわ美しく、特にメタリックの濃色のもの
は芸術品ともいえるほどの気品を持っていたと思う。これは新車当時の実車を目の前で見ないと
わからない部分かもしれないが、当時同様の印象を持った方もいたであろう。
ヘッドライト端のつり上がりも、現在のレガシィのような極端なものではなく、抑えめで
ありながら表情を引き締める、程度を心得たものであった。
しかし、これはマツダよりもさらに知名度の劣る、アンフィニブランドの車であった。
人々はわかりやすいトヨタブランドのカリーナEDやマークUなどのハードトップに
飛びつき、近所に同じ白いEDが何台も・・・などという状況がうまれた。しかし、ならば
我が家にはMS-8を。と考える人はそう多くはなかったのである。存在さえ知らなかった
のかもしれない。マツダの販売員でさえ、マツダ、アンフィニ、ユーノス、オートザム、オートラマ
の5チャンネルの製品を正確には覚え切れていない状態だったのであるから。
排気量は2000-2500。ジャガーブランドでOEM供給でもしていればアンフィニで売るよりも
台数がさばけたかもしれない、と思えるような状態で5年ほどの低空飛行が続き、後継も
検討されることなく消えていった日陰の貴婦人である。
TOYOTA NISSAN MITSUBISHI MAZDA HONDA DAIHATSU SUBARU SUZUKI ISUZU 他